桜下之風

 

 

 

 あれからおよそ一年。その年の春は、尋常に訪れた。



 顕界でのお使いの帰路、往路とは違って川沿いの道を選んだ魂魄妖夢は、土手に桜並木を見つけて、思わず足を止めた。
 おそらく一番咲き。白玉楼を含めた幻想郷のほとんどの桜が、まだつぼみを膨らませている段階である中、この場所の花は一足先に開ききっていた。大咲きのその花弁は、やや大味すぎる嫌いもあったが、それでも見事なものであった。淡い空の色に滲んだ川面に、うっすらと色づいた花はとてもよく映えて、それが視界を埋め尽くさんばかりに広がっているのは壮観と呼ぶに値した。
 私が知る中で三番目くらいかな、と妖夢は一本の樹下に立ち、評価を下す。一番素晴らしいのは、やはり白玉楼が誇る桜の杜だ。あの幽玄たる雰囲気は、とてもじゃないが他所では体感できない。咲き誇った花の中心に立つと、そのまま冥界に誘われそうな気がしてくるほどに――まあ、そこが既にあの世であるという事実は置いておくとして。
 ざっ、と春の香りを濃く帯びた風が川面を吹き過ぎていき、桜の枝たちを揺らしていった。木の手放した花びらが一片、妖夢の目の前をよぎろうとする。
 妖夢はふと目を閉ざし、刹那、抜き手も見せずにその花弁を二つに裂いていた。
 分かれ、別々の風に乗って去っていく桜色の破片を見送りながら、「二番目は博麗神社のかな」と、何事もなかったかのように思考を再開する。あそこの桜もなかなかのものだ。あくまで二番手ではあるが。
 白玉楼のものが至高であると、妖夢は固く信じて疑わない。根拠などろくにない、主観意見もいいところだったが。
 また、一陣の風がゆるやかに吹いた。薄桃色の雪の向こうに、妖夢は紅白の影が踊るのを見た。
 風に乗って現れたのは図らずも、博麗神社の巫女、博麗霊夢だった。霊夢は一風変わった装束の裾を翻しつつ、重力を感じさせないふわりとした動きで妖夢の方へと流れてくる。
 桜の中で舞う巫女。その光景に、妖夢は不意に胸を締め付けられた。鈍い痛みと共に、脳裏にとある光景がフラッシュバックする。
「あら、こんにちは」
 妖夢の前に流れ着いたところで、霊夢は止まった。妖夢を見る目には、特に敵意も好意もない。ちょっと春っぽい、喜怒哀楽で言えば「楽」満開の顔つきでいる。つまるところ、ゆるゆるであった。
「ここの桜は早いのね。うちのは、あと三、四日というところかしら」
「うちも、そう」
 どことなくぼんやりと、妖夢は応じる。
 霊夢は黒髪を乱す柔らかな風に目を細めながら、
「ところで、物騒ね。なんで抜いてるのよ」
「あ? ああ……」
 妖夢は抜き身の長刀を手にしていた。さっき、花びらを斬ってそのままだったのだ。
 背負った鞘に収めようとして、しかしその手が止まる。瞳が、剣呑な光を宿らせていた。
「……ああ、思い出した。これは、あんたを斬るために抜いてたの」
「また、辻斬り? 人の趣味にとやかく言うつもりはないんだけどね……」
 霊夢の反応に、さほど驚きの色はない。この手の荒事には慣れきった、そんな巫女だった。
「で、念のために訊いておくけど。散歩中の無害な巫女に仕掛けてくる理由は、何?」
「理由?」
 楼観剣を青眼に構えて、妖夢はうっすらと笑う。
「こんなに桜が綺麗だから――それで、十分じゃない?」



 妖夢と霊夢の因縁は、およそ一年前のこの時期に始まる。
 妖夢は白玉楼に押し入ってきた霊夢と戦い、桜の中に追い詰められた末、敗れた。主である西行寺幽々子の望みを叶えられなかったばかりか、主の盾という最低限の役目さえも果たせなかった。妖夢の敗北は、結果として幽々子を大いなる危険に晒すものだった。世が世ならば、剣士として、腹を切っても足りないほどの屈辱といえた。
 その騒動が決着を見て、久しい。今では妖夢も、霊夢と友人とまではいかないものの、知人としてそれなりの付き合いをするまでになっていた。過去のわだかまりは、既にない――そう、思っていた。
 だが、この日、桜の下に立つ霊夢を目にして、妖夢は思い出してしまったのだ。あの時の屈辱を。恥を。己の剣が届かなかったことの無念を。
 あれから、元より剣術に精励していた妖夢は、さらに厳しい修行を自らに課してきた。まだ幼い体には過酷なほどの荒行を。 別に、霊夢への復讐を目的としたものではないはずだった。ただ、自らの未熟が許せなかっただけだった。だが、研鑽を重ねれば重ねるほど、その成果を試したくなるのが人情であり、精神的な修養の足りない少女となればなおのことだった。
 妖夢が霊夢に挑む理由は、ここに全て揃っていたのだ。



 妖夢が刃を霊夢に向けた時点での、両者の間合いがおよそ二十歩。
 それより五分を経て、その距離は寸分も変わっていなかった。
 剣を頼みとする妖夢としては、間合いを詰めたい。霊夢の思惑はその逆であろう。両者の希望を等しく叶えれば、互いの距離が変わらないのも道理ではある。
 妖夢が踏み込めば、同じだけ霊夢がふわりと下がる。霊夢が下がれば、妖夢は追う。二人は土手の上をじりじりと、川下の方角に向かってわずかずつ移動していく。
 不動の間合いを隔てて、霊夢は御札を雨あられと飛ばしている。ろくに狙いを定めていると思えぬばら撒き方だったが、霊力で自動追尾能力を持たせられた札は、自然と標的たる妖夢めがけて収束していく。
 いつもながらずるい、と妖夢は左手に抜いた白楼剣で札をことごとく切り払いながら、考える。ここまで投げっ放しな攻撃など、剣士である彼女にとっては腹立たしいものでしかなかった。剣は違う、振り下ろしたらその末まで、剣士自身が責任を持たねばいけないのだ。
 相手の攻撃を捌きつつ、妖夢は間合いを詰める機を探っていた。魂魄流には、たとえ二百歩の距離であろうと瞬時に踏破できる歩法、いわゆる縮地の系譜に連なる技があり、妖夢もそれを体得していた。それを用いれば、即座に巫女の懐へ飛び込むことができる。
 相手もそのことは承知しているはずで、なかなかに隙を見せない。ふわふわとして、一見、やる気なさげとすら映る霊夢の挙動だったが、一貫した意思というものの感じられないその動きは、却って先読みを許してくれない。右に左に揺れ、時折くるりと身を翻したりするところなど、秋風に踊る木の葉のようでもある。
 だが、斬れる。妖夢は自身に言い聞かせる。私は風に舞う一片の花びらをも斬れる、どうしてあんな大きな人の形を斬れないものか。
 これまでの研鑽が妖夢に自信を与えていた。相手を捉え続ける双眸に、迷いの色は微塵もない。
 そしてついに、妖夢はその機を見出した。後退を続ける霊夢が、道の曲がりに合わせてわずかに体を開いた瞬間である。
 妖夢の瞳に、ほのかな幻妖の光が灯った。二刀の切っ先がすっと後ろに流れる。後足としている左の爪先に力を込め、少女は強く、大地を抉らんばかりに蹴りつけた。

 横合いから突風が吹きつけてきたのは、正にその一瞬だった。唸り声すら伴う強い風は、桜の木々をざわめかせ、想像外の大規模な散華を招いた。
 時ならぬ桜吹雪が、薄紅色の帯となって妖夢の視界を遮ったのだ。
 斬りつけるべき相手の姿を瞬間、見失い、それでも妖夢は刃を振るった。かりそめの剣鬼と化した少女の斬撃は、花弁の緞帳を切り裂き、そしてその向こうに巫女の姿はなかった。
 視界の端、川の上に霊夢の姿は移っていて、どこか悠然とした眼差しを妖夢へと向けていた。
 剣士は振り下ろした刃の末まで責任を持たねばならない――走り抜け、二刀を振りぬいた姿勢の妖夢に、二の太刀を構える暇は、もはやなかった。
「運がなかったわね」
 静かな言葉を添えて放たれた霊夢の光弾が、妖夢に殺到した。





 運がなかったと、巫女は表現した。
 となれば、妖夢は天運に敗れたこととなる。霊夢に負けたのではない、彼女の負った天命に屈したのだ。
 だが、その事実を認めるのは、妖夢にとって、より残酷なことだった。血を吐く思いで会得した奥義は、所詮、運などという目に見えぬ曖昧な事象に、その行く末を左右されるものでしかなかったのだ。
 そして――限りなく確信に近い推測を、妖夢は抱く。霊夢は、己の天運をおぼろげながらも知っていた。根拠などなかったろう、ただ得意とする勘でもって、妖夢の奥義を逸らす何かが起きることを察していたのだ。最後に見せたあの表情は、そういうものだった。
 あの勝負を分けた風は、吹くべくして吹いた天運だった。妖夢に仇を為し、霊夢に味方して、吹き過ぎていった。
 一年の研鑽で追いつける相手ではなかったのだと、妖夢は悟る。天命を斬るのに、いったいどれだけの年月を要するのか。果たして、生きている間にそれが可能となるのか。
「師よ、あなたなら、その答えも知っているのでしょうか」
 白玉楼、西行妖の前に立ち、かつてこの下で悟りを開いたという師に、妖夢は答えの得られることのない問いを投げかけた。



 ともかくも、それでこの一件は終わったかに見えたのだが、すぐまた、意外な方角から二人は再び対峙しあうことを余儀なくされる。

 あの一戦より数日、いよいよ各地で桜のつぼみがほころびはじめ、宴好きな幻想郷の住民たちの期待も上昇気流に乗りつつあった。
 毎年、宴の幹事を務める普通の魔法使い、霧雨魔理沙などは、早々に張り切って仕切りを始めたわけなのであるが、さて、ここで一つ問題が起こった。
 常ならば、花見の宴といえば博麗神社の敷地で行われるものであった。ここの桜は、郷の中でも屈指の枝振りを誇るし、何より祭事に関わらず人の集うところであったからだ。
 しかしこの年、神社を預かる巫女、博麗霊夢は、宴の場として敷地を提供することを渋った。
「いつもいつも、あんたらのどんちゃん騒ぎでこちらがどれだけ迷惑していると思ってるの? 特にいつぞやの宴会ラッシュ、あれで溜まった瘴気を祓うのには、ひと夏使ったんだからね。何よりも、あれだけ大勢が何度も集まったのに、誰も賽銭を入れなかったのは、一体どういう料簡なのよ」
 そして代わりに、白玉楼を候補として挙げたのである。
 これを聞かされたとき、西行寺幽々子は屋敷の奥で庭の景観を眺めつつ、鳥肉を肴に昼酒をあおっているところであった。
「ああ、私は構わないけど」
 交渉に訪れた魔理沙に、幽々子は口からつまみだした小骨を皿によけながら、鷹揚に応じた。
「でもその場合、実際に取り仕切るのはほとんど妖夢だものね。どうかしら?」
「恐れながら」
 傍らに控えていた妖夢は、顔を伏せて応じた。
「本来、当家の庭は顕界の者を招く場所ではありません。幽世に容易く余命ある者を通すは、世の摂理を捻じ曲げる仕業。まして宴を称して大勢を呼べば、その歪みが大きくなるは必定、いずれ大禍を招くでしょう」
「そんなこと言って、私らなんかしょっちゅう出入りしてるけど、なんともないじゃないか。なんか難しいこと言って、単に面倒なだけなんだろ」
 魔理沙のつぶやきに、妖夢は勢いよく面を上げ、ひたと彼女を見据えた。
 その双眸に二刀の閃きを見たと、魔理沙は後に述懐している。このとき彼女は、愛用の魔法の箒を玄関で預けてきたことを、心底から後悔したという。
 しかし、それでも魔理沙は引き下がらなかった。いよいよ花も開きはじめ、宴の参加予定者たちからせっつかれていたこともある。アリス・マーガトロイドあたりからは、
「拙速が白黒着ているようなあなたにしては、今回はずいぶんと慎重じゃない?」 などと皮肉たっぷりに言われており、内心、穏やかならざるところがあったのだろう。
「どいつもこいつも我がまま言って。なら、どっちを会場にするか、お前ら勝負して決めろよ」
 そう、真っ向から妖夢を睨み返して、言ったのだった。


 これに妖夢は蒼白となった。
 膝の上に乗せた拳を強く握り締め、だが首を縦に振った。断れる状況ではなかった。
 それを確認した魔理沙は博麗神社に取って返し、霊夢からも了承を取り付けた。そして段取りの調整に掛かり、あれよあれよという間に対決の日取りを定めてしまった。宴会の幹事で鳴らした手腕は、こんなところでも役立ったのだ。
 時は二日後の正午。それを伝えられて、妖夢は二刀を手に、白玉楼の桜の中に身を置いた。花は、今が盛りと咲き乱れていた。
 目を閉ざし、再び霊夢と戦う、その光景を脳裏に思い描く。何度戦っても、自分が勝つイメージは見えなかった。想像の中で、妖夢の刃が霊夢に届くことは、一度もなかった。
 そのまま庭で夜を明かし、さらに昼を過ごし、対決を翌日に控えた夕刻となって、妖夢は突然、幽々子の寝所を訪ねた。
「あら、妖夢。お腹が空いたんだけど」
 これから布団にもぐりこもうとしていた者のものとは思えない言葉に、妖夢はやわらかに微笑み、それから敷居際に手を着いて、深々と頭を下げた。
「幽々子様。明日の試合……この妖夢、きっと恥ずかしくない勝負を致します」
 それだけだった。それだけを言い置いて、妖夢は寝所を辞した。


 後に残された幽々子がきょとんとなったのは、無理からぬことだった。この時までに彼女は、従順な庭師の様子がここしばらくおかしいことに気付いてはいたが、後戻りできぬほど深く追い詰められていたことまでは、見抜いていなかった。
 小首を傾げる背後から、
「あれは、神風にあてられたのよ」
 不意にそんな声がして、幽姫は振り返った。寝所の中空にスキマが開いて、八雲紫が顔を覗かせていた。
 唐突な友人の出現に、幽々子は驚くでもなく、けれども興味を惹かれた顔つきになった。
「何か知っているのね、紫?」
「ちょっと前に、川原の桜が綺麗だと藍から聞いてね、スキマ越しに一足早い花見をしていたのよ。その時、あなたの可愛い従者が、私の可愛い霊夢とじゃれあっていたの」
「……妖夢は、負けたのね」
「残念だけど、あの子に霊夢の相手は荷が勝ちすぎているわね。相性が悪いわ。真っ直ぐすぎるの」
 スキマの縁に肘を立てかけ、紫は頬杖をつく。
 幽々子は眼差しを翳らせて、自分の膝に落とした。
「明日の勝負、妖夢はまた負けるのね」
「そして恐らく、止めとなるわね」
「勝ち目はないの? これっぽっちも?」
「霊夢は神様に愛されているから。それも、幻想郷で最も偉大な神様に。この天命を破るのは、生半のことじゃ無理ね」
 それになにより、霊夢は私にも愛されているから。紫はいたずらっぽく笑ったが、向き合う幽々子の表情は沈鬱なものになるばかりだった。
 しばしの間を置いて、
「でも」
 と、紫は言葉を継いだ。
「幽々子。あなたも妖夢のことを強く愛しているんでしょ。それを示せば、あるいは……ちょっと、面白いことになるかもよ?」




 対決の場として選ばれたのは、奇しくもあの桜並木の堤だった。
 早く咲いた桜は、やはり早く散り、木には新緑の色ばかりが目立っていた。散り落ちた花弁は、地面の土色の中に、わずかにその名残を見せていた。
 その花の残骸を踏まぬよう、わずかに浮かびながら、霊夢は定刻きっかりに現れた。妖夢は既に土手の上で待っている。
 立会人は魔理沙。それに呼ばれてもいない観衆が人妖入り混じって、十人ほど。妖夢の斜め後方、川の上流側にひと塊となっている。幽々子と紫の姿は、その中にはない。
 妖夢はとうとう霊夢を打ち破る方策を編めぬまま、ここに立っていた。諦観からなのか、やや青ざめながらも静かな表情でいる。おもむろに両刀を抜き、構えた。
 勝負の流れは、前回をなぞるかのように進んだ。一定の間合いを保ったまま、じりじりと霊夢が後退していき、それを妖夢が追う。空は高く、風はなかった。
 妖夢は斬りかかる機を求め、何度か目にしながら、それを逃していた。詰め寄ったところで、倒せる確かな自信が、どうしても持てなかった。また、あの風が太刀筋を遮るのではないか。風の形をとらずとも、何らかの形で、天運が邪魔をするのではないか。そんな確信めいた猜疑が、彼女の足をすくませていた。
 そして、こちらに追い風が吹くことはないのだ――妖夢は萎縮的に考える。こちらに利する風など、天運など、ありはしない。
「うっ」
 と、観衆の中で呻き声が上がった。勝負が動いたのだ。妖夢が後退を始め、逆に霊夢が前進へと移っていた。
 研鑽によって築いた自信を挫かれた妖夢は、ついに勇武までも枯らしてしまったのである。
 妖夢はじりじりと下がる。
 霊夢が追う。
 風はない。
 妖夢の後足が、とうとう土手の縁を踏んだ。草の感触を靴越しに覚えて、なおも妖夢は足を戻せず、後ずさりを続けた。
 その鼻腔を懐かしい空気がくすぐったのは、その時だった。
 風が、背中から吹きつけていた。薄い春の色を帯びた空気に、ここにあるはずのないもの――桜の花びらを、妖夢は見つけた。白玉楼の桜。
 そして、
「行きなさい、妖夢」
「――はい!」
 風と、その声に背を押されて、妖夢はたちまちに前へ向かって飛び出していた。


 不意の反撃に霊夢の反応は遅れた。彼女の勘を凌ぐ、虚を突く妖夢の一太刀だった。
 霊気の刃で左肩から袈裟に斬られながら、彼女は妖夢の背後に一面、幽玄たる桜の花が広がるのを目にしていた。



 霊夢を斬り捨ててなおも数十歩を駆けつづけた妖夢は、不意に膝から力が抜けていくのを感じた。へなへなと座り込みながら、かろうじて風の吹きつけてきた方角を振り見る。
 遠く、閉じていくスキマが。その向こうには主の桜色の髪が垣間見えた。
「……ありがとうございます」
 瀬戸際での一押しをくれた天運に、彼女はささやいた。



 倒れた霊夢のそばに新たなスキマが開き、紫が顔を覗かせる。
 仰向けに倒れながら、霊夢は苦痛に歪む顔で、紫のことを睨みつけた。
「なんのつもりか知らないけれど……これはちょっと、干渉しすぎじゃない?」
「あら、私は幽々子に生中継を見せてあげようとしただけよ。風がどこからどこへ向かって吹こうと、そんなことにまで責任は持てないわ」
「……食えない奴。ああ、またうちで宴会なのね」
 二人は道の先、妖夢へと目をやる。空を仰ぐ幼い剣士の周りには、まだ春色の花びらがいくつか、ひらひらと舞っていた。

 

 

 

 



SS
Index

2005年8月13日 日間

PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル