あれからきっと、空ばかり見ていたのだろう。
早暁の白みつつある空。
夏の昼下がりの群青。
北風にものすごい速さで流れていく灰色の雲。
大地とそこに立つ全てを紅く染め上げる夕焼け。
星の真砂をちりばめた漆黒の夜海。
――あらゆる空を彼女は愛していたのではないか。
勝手に店へ上がりこみ、僕の膝の上で本を読んでいるときだって。
彼女はふと、意識をはるかな彼方へと飛ばすのだ。
これは、流れ星に憧れて空へと手を伸ばし続けた、ある女の子の話だ。
イラスト:
鳥居すみ(airdrop)
『First flight』
著:日間
2009.10.11.
東方紅楼夢5
ふじつぼ
J-30b
文庫
84ページ
頒布価格
400円
書店価格
578円(税込)
委託
とらのあな
メロンブックス
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